藤原経房の日記『吉記』は平安末期から鎌倉初期の重要な日記史料として、日本中世史のみならず、中世文学・日本美術史の分野でも多くの研究に利用されてきた。本書は鎌倉前期古写本を初めて紹介するなど、底本を新たにし、これまで活字化されていない公事抄出や逸文を含めた本文を編年体で収録した。校訂注や説明注を施し、欄外に主要事項を標記して利用者の便宜を図る。本文編三冊、索引・解題編一冊の全四冊。本文編(一)には仁安元年(一一六六)より治承三年(一一七九)までの、(二)には治承四年(一一八〇)〜寿永元年(一一八二)までの、(三)は寿永二年(一一八三)〜建久九年(一一九八)までの記事を収める。
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