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ISBN:978-4-7576-0908-2 C1395

かぐやひめとすがわらのみちざね

和泉選書188 かぐや姫と菅原道真 - 私の「竹取物語」論

定価(税込) : ¥2,808
表紙 著作者よみ : いといみちひろ 
著者名 : 糸井通浩 著著書を検索
出版社 : 和泉書院 近刊を見る】【新刊を見る】 【出版社web
発売日 : 2019年6月14日
ジャンル : 散文 - 中古
判型四六判/264頁
『竹取物語』は、「こと」語りならぬ「もの」語りの創造という文学史的エポックをなした作品であった。言わば、様々なプレテクスト(読者と共有する知識)を活用しながら新しいテクストの創造であった。つまり作者は読者の受け皿の実態(筆者の言う「享受の精神構造」―どういう「知識」を共有する読者層に向けて語られた「語り」であったか)を把握しながら、そこに新たな発見・驚き(新鮮な共感)を提供しようとする。受け皿の実態は、同時代性と社会性が形成するものと言える。『竹取物語』は、読者と共有する古代史(都と鄙〈丹後・讃岐〉と伊勢に関わる歴史事項)に関する知識を活用しながら、古代伝承からの「語り」の飛翔という新しい文学の創造を成し遂げた作品であった。本書は、この作品が何時・何処で誕生したかを踏まえた上で、同時代性と社会性を掘り起こしてきた結果から浮かび上がる作者像を菅原道真に焦点を当てたものと言えようか。

目次

口絵 竹取物語 中川文庫本・三冊完本

はじめに――刊行にあたって

かぐや姫と菅原道真

1「ものがたり」の誕生―初めて確立した「もの」の「語り」
2 作者未詳の意味―説話と違う特定作者の「表現行為」
3 道真作者説の可能性―主題・モチーフの関係から
4 成立時期―八七五―八九〇年を中心にその前後
5 物語の時代と舞台―今は昔、大和に帝がおられたころ
6 「竹取の翁」の名前―「讃岐のみやつこ」道真が重要な意味もつ
7 讃岐守の時代―都を離れ「文学」に力注ぐ道真
8 竹と忌部氏と讃岐―平安初期、氏族間の対立関係が
9 竹林への思い―風雪に耐える竹に我が心託す
10 命名の由来―既存のことば二つを合わせ
11 二人の「かぐや姫」―“違い”にこそ語りたい主題が
12 羽衣伝説の話型―一つは中臣氏ゆかりの始祖伝説
13 丹後の羽衣伝説―「竹取」と同じ「地名起源譚」
14 菅原氏の系譜―「埴輪」進言した野見宿禰を遠祖に
15 土師氏と丹波(丹後)―巨大古墳築造にかかわる?
16 土師氏と間人皇后―「間人(はしひと)の」は、地名を称える枕詞
17 大和王権と古代丹後―畿内以外で皇統と婚姻、丹後が初
18 古代伝承の語り部―菅原系土師氏、皇統伝承管理か
19 丹後の三大「前方後円墳」―築造は大和の設計規格に類似
20 勘解由曹局―「文学工房」的な環境の中で
21 『類聚国史』の編纂―百科事典の類、大変な作業
22 月と物思い―『白氏文集』と深いかかわり
23 八月十五夜の宴―「家忌」で廃止後も、特別な思い
24 月と姮娥伝承―月への昇天のヒントに
25 外宮の神と丹後―羽衣伝説の神、伊勢へ迎える
26 伊勢外宮の神と月―穀物の神、酒の神、水の神
27 外宮祭祀と忌部氏―祭祀成立に直接かかわる
28 斎宮―伊勢と丹後―相似関係 いつきのみや
29 糸で葺いた屋根―邸宅内部に設えられた寝屋
30 大伴御行の漂流と遣唐使―遭難や通商の体験談、描写の元か
31 「斑竹姑娘」の発見―『竹取物語』の原話ではない
32 母は大伴氏の娘―作品の主題は姫の出生と昇天
33 死による絶対的別れ―天上界と人間界の隔絶を描く
34 物語への飛翔―説話から「虚構の語り」へ
35 国風文化の開化と高揚―「うつし」の技法が生んだ成果
36 道真誕生伝説―「竹取」に似た道真の伝承
37 道真作者説の可能性―先祖に土師氏、月に詳しく
〔参考〕龍谷大学図書館蔵本・奈良絵本『竹取物語』解題
竹取物語(中川文庫本)
竹取物語(三冊完本)

〈探究ノート〉
『竹取物語』の時代背景―「享受の精神構造」を掘り起こす

1 表現素材の系譜論・機能論―『竹取物語』を中心にして
2 『竹取物語』の月と姮娥伝説
 (序)かぐや姫と月
 (一)外宮は月の神―姮娥・舁女の異名
 (二)観月の宴―八月十五夜
 (三)日本における「姮娥」伝承
3  伏見稲荷の神々と丹後の神々
 (序)はじめに
 (一)「ウカ・ウケ」の系譜
 (二)伏見稲荷大社の祭神構造
 (三)丹後地方の祭神構造
 〔参考〕丹後の式内社と祭神
4 羽衣伝説と「真名井」の道
 (一)羽衣伝説の「真名井」
 (二)羽衣伝説の「山の名」の謎
 (三)丹後古代氏族の根拠地―竹野と間人
 (四)丹波と但馬
 (五)真名井の移動と勢力の移動
 〔参考〕羽衣天女
 〔参考〕丹後半島、西から東へ
5 地名「間人」について―『はし』という語を中心に
 (一)なぜ「間人」をタイザと読むか
 (二)なぜ「間」が「はし」と読めるか
 (三)「橋立」の意味と用法
 (四)「タイザ」の語源を考える
〔参考〕間人皇后
6 『竹取物語』作者圏と菅原道真
 (一)『竹取物語』の舞台
 (二)『竹取物語』の作者圏
 (三)道真と讃岐と竹
 (四)菅原の祖「土師氏」と古代伝承
 (五)道真と「竹」
 (六)余滴
 〔参考〕竹野媛と丹波の五女
 〔参考〕丹波(丹後)の語り部

初出一覧
あとがき

著者略歴

1938年京都・嵯峨の生まれ。小・中・高時代、丹後(現京丹後市)で育つ。1961年京都大学文学部卒。日本語学・古典文学専攻。国公立の高校教員(国語)、愛媛大学助教授を経て、京都教育大学・龍谷大学名誉教授。この間、在北京日本学研究センター客員教授、京都教育大学附属幼稚園園長、表現学会代表理事、京丹後市史編纂委員、京都地名研究会事務局・副会長など歴任。
主な共編著:『小倉百人一首の言語空間―和歌表現史論の構想―』、『物語の方法―語りの意味論―』、『日本語表現学を学ぶ人のために』(以上、世界思想社)、『王朝物語のしぐさとことば』(清文堂出版)、『京都学の企て』、『京都学を楽しむ』、『京都の地名 検証』(以上、勉誠出版)、『京都地名語源辞典』、『地名が語る京都の歴史』(以上、東京堂出版)ほか。
主な専著:『古代文学言語の研究』、『「語り」言説の研究』(以上、和泉書院)、『日本語論の構築』、『古代地名の研究事始め』(以上、清文堂出版)、随想集『谷間の想像力』(清文堂出版)ほか。

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