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ISBN:978-4-7576-0900-6 C3381

にごうがなのけんきゅう

研究叢書509 二合仮名の研究

定価(税込) : ¥14,040
表紙 著作者よみ : おやましん 
著者名 : 尾山慎 著著書を検索
出版社 : 和泉書院 近刊を見る】【新刊を見る】 【出版社web
発売日 : 2019年2月20日
ジャンル : 文字・表記
判型A5/500頁
一字二音節の音仮名である「二合仮名」は、訓字に親和し、訓字主体表記歌巻にそのほぼすべてが現れる。本書は、訓仮名や、同じ字音を素材にした略音仮名と対比しつつ、その働きを徹底的に解剖した。二合仮名は、仮名らしくない仮名であるゆえに使われ、仮名らしくない仮名であるゆえに消えていった。それは、完成品としての単音節の仮名の規範に照らしてそうなったわけではない。すべては、その表記、書記の動態上で起きていったことだった。二合仮名が異端化していくのが、すなわち単音節の仮名とその表記が成熟していく道でもあった。どちらかが因でどちらかが果というのではなく、訓字,訓仮名も含めた、文字表記の手段としての相互的"張り合い"が互いに互いを刺激し合いつつ、もたらしたことだった。萬葉集の総文字数の1%にも満たないこの仮名が、その表記の考究に欠かせない存在であることを明らかにし、訓字や他の仮名との関係をめぐる新知見を提示する。

目次

まえがき
用例の扱い
術語説明にかえて
第1節 書記(論)と表記(論)について
第2節 歌表記における「表意(性)」と「表語(性)」
 はじめに
 1、「表語─」と「表意─」
 2、「表語性」
 3、「表意性」
  3−1、「表意性」をもつ用例
  3−2、先行論による分析
  3−3、仮名が「表意性」を帯びるとき
 4、意味の読みとりと恣意
  4−1、読みとるか、気づかないか
  4−2、「表意性」の過剰な読みとりの一例
 小括
第3節 訓字、訓仮名、音仮名と表意性
 はじめに
 1、一般言語学の「語」と「意味」
  1−1、ソシュール(F.D.Saussure)のシニフィアン(signifiant)とシニフィエ(signifie)※signifieのeはe+´
  1−2、杉本つとむの見解
  1−3、「視覚映像」としてのシニフィアン
  1−4、(視)シニフィアンの別によってシニフィエが揺らぐ、割れる
  1−5、仮名と訓字の関係
 2、「表意性」を帯びる仮名
  2−1、音仮名
  2−2、訓仮名
  2−3、訓字から訓仮名へ、そして義訓
 小括
 第4節 本書のキーワードを巡って
序章 文字、表記、書記を巡る議論の中で
導言
第1節 現代の日本語と文字
 1、文字を複数種同時に使うこと
 2、漢字という文字種による分節
 3、書く行為と読む行為とそれを分析する行為
  3−1、書くことと読むこと
  3−2、読み手と書き手
  3−3、抽象化される読み手
 4、漢字という文字の“動態”と“静態”
  4−1、基本的概念として
  4−2、動態としての漢字の用法
  4−3、漢字は表記(書記)の中で“稼働”する
第2節 古代日本語と文字、表記、書記
 1、「音」「訓」という用語
 2、「日本語」という「訓」
 3、古事記の「音」「訓」
  3−1、序文にいう「音」「訓」と漢字の用法
  3−2、現代の音よみ訓よみと、古事記の「音」「訓」
 4、古代の字音とその受容
  4−1、字音の学びと日本化
  4−2、古代における日本漢字音の存在とその徴証
 5、「訓」の定着度
  6、≪訓読≫の内実
  7、古代の表記論を説くにあたって
まとめ
第1章 子音韻尾字由来の仮名とその実相
導言
第1節 子音韻尾字と、仮名としての使用
 1、表音用法としての仮名
 2、倭語の音節と漢字音との関係
 3、三内入声音、三内撥音
  3−1、入声字
  3−2、撥音字
 4、子音韻尾字と開音節化
第2節 子音韻尾字の韻母と声母
 はじめに
 1、非子音韻尾字との交替例
 2、声母別分類
 3、韻母別分類
 小括
第3節 略音仮名の基本的検証―入声―
 1、「連合仮名」と略音仮名
 2、用例概観
 3、形態別用例数と後接子音
 4、類似調音点の子音が後接する場合
 5、類例による検証―「吉」字を手がかりとして
  5−1、[I]群
  5−2、[II]群
  5−3、[III]群
 6、「吉」字以外の例から
  小括
第4節 略音仮名の基本的検証―撥音―
 1、入声字で得られた見解から
 2、用例概観
 3、作業仮説
 4、用例検証[I]〜[V]の分類から
  4−1、[I]群
  4−2、[II]群
  4−3、[III]群
  4−4、[IV]群
  4−5、[V]群
 5、考察(1) 各韻尾ごとの出現分布から
 6、考察(2) 唇音・m韻尾字の特徴と開音節化
  6−1、二合仮名の割合との比較
  6−2、m韻尾字の韻尾に対する“意識”
 小括
第5節 二合仮名の基本的検証
 はじめに
 1、巻ごとの分布
 2、表記主体別にみる品詞の分布
 3、二合仮名の使用実態―継承的なものと一回性のもの
 4、訓字主体表記において使われる二合仮名
  4−1、繰り返し用いられる二合仮名付属語表記
  4−2、二合仮名自立語表記の特徴
 5、二合仮名の音節と漢字音
  5−1、音仮名としての二合仮名―前位音節
  5−2、後位音節検証その(1)―付加母音
  5−3、後位音節検証その(2)―上代特殊仮名遣に関わる場合
 小括
まとめ

第2章 略音仮名と二合仮名との関係
導言
第1節 略音仮名と二合仮名の消長
 はじめに
 1、略音・二合と字種
  1−1、形態別字種分布
 2、考察(1) 略音仮名、二合仮名の推移と消長
  2−1、時代変遷と使用頻度の推移―略音仮名
  2−2、時代変遷と使用頻度の推移―二合仮名
 3、考察(2) 時代別字種分布
  3−1、略音仮名の字種分布
  3−2、二合仮名
 小括
第2節 韻尾の別と二種の仮名の生成
 はじめに
 1、字種の分布
  1−1、形態別の分布
  1−2、音節別分類
 2、のべ用例数分布
  2−1、分布
  2−2、入声
  2−3、撥音
 3、字音語資料における日本漢字音を手がかりに
  3−1、声明資料
  3−2、入声
  3−3、撥音
 小括
第3節 略音仮名と二合仮名の「両用」
 はじめに
 1、入声字の場合
  1−1、両形態での比較考察
 2、撥音字の場合
  2−1、用例一覧
  2−2、両形態での比較考察
 3、略音仮名と二合仮名の関係
 小括

第3章 二合仮名の機能を巡る分析
導言
第1節 非固有名詞表記における二合仮名
 はじめに
 1、考察の方法論
 2、考察(1) 二合仮名と前後の文字列
 3、考察(2) 語の境界と二合仮名の位置
  3−1、(ア)について
  3−2、(イ)について
 4、一回だけ使用されるものと反復使用されるもの
 5、訓仮名との関係
 6、萬葉集における仮名主体表記歌巻内でのありよう
 小括
第2節 二合仮名と多音節訓仮名
 はじめに
 1、多音節訓仮名の音節と二合仮名の音節
  1−1、多音節訓仮名で記される音節
  1−2、二合仮名で記される音節と多音節訓仮名の使用状況
  1−3、使用の重複からみる多音節訓仮名と二合仮名の関係
 2、同音節で使われる多音節訓仮名と二合仮名
  2−1、多音節訓仮名と二合仮名の反復使用と臨時的使用
  2−2、同一の語に用いられる二合仮名と多音節訓仮名
   2−2−1、表記される語と音節
   2−2−2、自立語の場合
   2−2−3、ク語法の場合
   2−2−4、その他の付属語の場合
 3、多音節訓仮名と二合仮名の「棲み分け」
 3−1、多音節訓仮名の使えない音節
 3−2、競合しないということの意味
 小括
第3節 萬葉集所載地名表記における二合仮名
    ―非固有名詞表記との関係をめぐって―
 1、地名とその表記
 2、萬葉集の二合仮名と地名表記
 3、考察対象となる字母群について
  3−1、萬葉集における地名表記の二合仮名字母
  3−2、【a】群および【b】群字母一覧
 4、【a】群の考察
  4−1、考察の眼目
  4−2、音形が異なる場合―「南」「楽」
  4−3、音形が同じ場合―「薩」「難」「當」
  4−4、「越」
 小括
 5、【b】群の考察
  5−1、各例の考察
 6、「棲み分け」られる地名表記二合仮名と非固有名詞表記二合仮名
  6−1、両者の関係
  6−2、地名表記字母の選択可能性
  6−3、非固有名詞表記字母の選択可能性
第4節 萬葉集における地名表記と二合仮名
    ―非固有名詞表記例をもたない二合仮名―
 1、萬葉集の地名表記と子音韻尾字
  1−1、地名表記と非固有名詞の両方に認められる二合仮名
  1−2、考察対象となる字母
 2、考察(1)
  2−1、萬葉集外にも認められる場合
  2−2、小結
 3、考察(2)
  3−1、萬葉集外には認められない場合
  3−2、小結
 小括
まとめ

第4章 訓字主体表記と子音韻尾字音仮名
導言
 第1節 訓字主体表記と略音仮名
 はじめに
 1、考察に先だって
  1−1、用字法と表記法
  1−2、読み手による同定方法
  1−3、略音仮名か、二合仮名か
  1−4、いかに「当たりをつける」か
  1−5、所与の仮名と新たに作り出される仮名
  1−6、本稿の考察方法
 2、考察
  2−1、考察(1)―字母の検証
  2−2、考察(2)―文字並びの検証
 3、書き手と読み手
  3−1、書き手と読み手がたどる道
  3−2、読み手にとっての「用字法」と「表記法」
  3−3、考察結果から―訓字主体表記における略音仮名という判断
 小括
第2節 訓字(訓仮名)と二合仮名の「両用」
 はじめに
 1、作業仮説
  1−1、用例認定にあたって
  1−2、二合仮名字母の使用実態と訓字
 2、用例の概要と検証
  2−1、二合仮名の字母と訓での使用
  2−2、個別検証(分類(1)・(2)・(4))
   2−2−1、「(1)訓字・訓仮名での使用がない」および「(4)同数」
   2−2−2、「(2)訓字・訓仮名での使用があるが、二合仮名より使用数が少ない」
  2−3、(3)訓字・訓仮名での使用があり、二合仮名より使用数が多い
   2−3−1、二合仮名が僅少の場合
   2−3−2、二合仮名が3例以上
 3、考察―用法としての文字使用選択を巡って
  3−1、各分類を貫く在りよう
  3−2、用法としての選択
  3−3、音と訓の「変換」
  3−4、ある字母が音と訓とに両用されるということ

補章 萬葉集以外の子音韻尾字音仮名をめぐって
付論:ある異同の一例から
導言
 第1節 古事記における子音韻尾字音仮名について(歌謡以外の本文)
 1、古事記本文部における子音韻尾字音仮名
 2、古事記本文部における子音韻尾字の使用傾向
 3、古事記歌謡・古事記本文部・萬葉集の比較
 4、考察
  4−1、子音韻尾字の字母選択
  4−2、連合仮名の是非―非固有名詞の場合
  4−3、固有名詞表記に専用される子音韻尾字音仮名
 小括
第2節 古事記歌謡における子音韻尾字音仮名について
 はじめに―古事記歌謡における子音韻尾字音仮名の字種
 1、古事記歌謡における子音韻尾字の様相
 2、散文の部分と歌謡のあり方から
 3、連合仮名に相当する形になっている例について
 小括
【参考】日本書紀の二合仮名と子音韻尾字音仮名の扱い
第3節 古代一次資料と子音韻尾字音仮名
 はじめに
 1、木簡の韻文表記における子音韻尾字音仮名
 2、仏足石歌
 3、正倉院仮名文書2通の子音韻尾字
 4、710年以前の木簡と子音韻尾字
附論:「千遍」考―ある二合仮名と訓字を巡る異同例―
はじめに
 1、先行論と問題の所在
 2、「チヘ(ニ)」
  2−1、用例概観
  2−2、「シキニ」「シクシクニ」
  2−3、他の副詞を介さず「オモフ」にかかる例
 3、「チタビ」およびその他の「〜タビ」
 4、歌意解釈での決め手
 5、類例を吟味する
 6、二合仮名のありようと「遍」
 小括

終章 二合仮名の実相
導言
第1節 歌表記と二合仮名、略音仮名
 はじめに
 1、歌の仮名表記の展開
 2、後代への「連続」と「不連続」
―二合仮名の行方(新撰萬葉集と元永本古今集)
  2−1、新撰萬葉集の二合仮名
  2−2、元永本古今集の「二合仮名」
第2節 結論にかえて―二合仮名の定位と萬葉集歌表記―
 はじめに
 1、用字法と表記法
 2、「意識の束縛から脱却しきつてはゐない」―橋本四郎氏の言葉
 3、略音仮名との関係から
  3−1、字母の共用抑制
  3−2、萬葉集後半期以降の字母と表記される語ごとの比較検証
 4、字母選択と二合仮名―「読まれる」ことを意識して
  4−1、一字一音に交ぜ書きされにくい
  4−2、読みの観点から
  4−3、字音の学習と二合仮名の運用
 小括

本書の課題と展望
初出一覧
あとがき
索引

著者略歴

1975年大阪府生まれ
2006年大阪市立大学大学院文学研究科博士後期課程修了 博士(文学)
大阪市立大学特任講師を経て、2013年より奈良女子大学准教授。現在に至る。
2007年度新村出財団研究奨励賞受賞、2009年萬葉学会賞受賞、2014年漢検・漢字文化研究奨励賞・佳作

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