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ISBN:9784874247679 C3081

いきたことばをつかまえる

生きたコトバをつかまえる - 日下部文夫著作選

定価(税込) : ¥6,912
表紙 著作者よみ : くさかべふみお 
著者名 : 日下部文夫 著著書を検索
出版社 : くろしお出版 近刊を見る】【新刊を見る】 【出版社web
発売日 : 2018年5月29日
ジャンル : 文字・表記
判型A5/304頁
日下部文夫先生は1917年2月に金沢に生まれ、2014年2月に東京で亡くなられた。享年97歳だった。
言語学者であられた先生は、亡くなられる十数年前から「ユビキタス」と題する論考を書き溜め公刊されるおつもりがあった。その志を受け、当初はご遺族が出版を考えられたが、それはインターネットで公開することにした。本書は、100を超える先生の論文から、専門的になりすぎないものを選んでまとめたものである。ただし、音声学関連のものは、専門知識がないと読みにくいと思われる。私は、1977年から2年間、東京外国語大学の大学院で先生の指導を受けた。今回この本に載せる論文を選ぶために、ご家族とともに先生の論文に目を通したが、ここでは、その際に感じた二つのことを特に挙げておきたい。
一つは、先生の研究領域の幅の広さである。言語学といっても、音韻論、表記法、語彙、文法研究、さらに沖縄、奄美大島、ミクロネシアでの方言調査と多岐にわたっている。しかし、先生は常にことばに思いを寄せておられたから、先生の中ではいろいろな分野に関心があったのではなく、一続きのものであったろう。(中略)
先生の論文を拝見して今回強く感じたもう一点は、ローマ字論者としての先生である。先生のお話では、父上が田丸卓郎の影響でローマ字論者であり、子ども時代、家には早川桂太郎の『Momoirono Sinzyu』(1925)という絹張りの立派な詩集があったそうで、年季の入ったローマ字論者と言える。第八高等学校時代には「八校ローマ字会」に入って、一級下の生涯親交を結ばれた柴田武氏とともに活動されている。(中略)
先生のご興味は言語哲学にあったというだけに、先生の論文は読みやすくはない。しかし、戦前、戦中、戦後と考察を深められた先生の論考は、含蓄に富んでいる。ことばについて深く考え、同時に、今のことばの使い様から問題意識を遊離させることはなかった。そして、現代の社会のありようについて思索されるとともに、国、時代を超えて物事の根元をとらえることの大切さを説かれた。真に学者と呼ぶべき方を失ったと感じる。本書を多くの方に読んでいただくことを心から願っている。(「まえがき」より)

目次

まえがき

第1章 日本語教育と国語教育―その間から―

第2章 語頭の音節形成通鼻音について
0. まえおき
1. 音節末のイ・ウ表記
2. 語頭の鼻音表記
3. 語頭の「イ」の消滅
4. 沖縄の語頭通鼻音節
5. 声門破裂音の意義
6. 結び:語頭の音「ン」

第3章 沖縄北部方言における一音節名詞アクセントについて
1. まえおき
1.1 音節の長短
1.2 沖縄方言における一音節名詞
1.3 複雑・多様なアクセント
2. 第一類・第二類の別
2.1 第一類「身」と第二類「葉」―(附)「櫓」と「毛」―
2.2 第三類「根」と第三類「木」―(附)「巣・歯・竿」―
3. 高低・昇降
3.1 新しい類:「豚」と「棒」
3.2 一音節名詞と二音節名詞のアクセントの照合(沖縄)
3.3 三類対立型アクセント体系
3.4 四類対立型アクセント体系―縮約形の動き―
3.5 与論(奄美)における一音節アクセント体系―「声・きょう」類の動き―
3.6 「豚」「きょう」「棒」の配置(その一:沖縄北部で)
3.7 「豚」類・「きょう」類・「棒」類の位置(その二:奄美諸島で)
3.8 一音節名詞と二音節名詞のアクセントの照合(奄美諸島)
4. 一音節名詞アクセント諸例
5. 二音節名詞アクセントの体系
5.1 アクセントは語形に与えられる―アクセント観―
5.2 「風・冬」と「水・夏」とが対立する
5.3 低平調「山」類と上昇調「孫」類の指標
6. アクセント核の導入
6.1 高い核と低い核
6.2 アクセント核のきまり―「核」の姿(実現)について―
6.3 核のつくるアクセント―五類対立があるか―
6.4 韻律格とアクセント核―やはり四類対立―
6.5 「水・夏」類の配置例
7. まとめ
7.1 アクセント体系に音節数は関わりがない
7.2 一音節名詞と二音節名詞のアクセント体系の組みあわせ
7.3 わかったこと
7.4 中世のアクセントについて

第4章 東京語の音節構成
0. はじめに
1. 音節のありかた
2. 付属(あと)モーラ
3. 相関束
4. 付属部の構成
5. 音節図式
6. おわりに

第5章 現代世界の文字―比較文字論―
1. 文字は語を表記する
2. 文字は音を伴う
3. 基本的機能から見て
4. 社会的機能について
5. 字形の識別について
6. 技術的要素として
7. 国際性について
8. 地域性について
9. 宗派性について
10. 人類共有の体系として

第6章 日本のローマ字
1. ローマ字と日本
1.1 日本でいう「ローマ字」
1.2 社会における現状
1.3 字母文字としての機能
2. ローマ字つづり方の前史
2.1 キリシタンのつづり
2.2 オランダ式と蘭学式のつづり
2.3 ドイツ式つづり
2.4 フランス式つづり
2.5 英語式つづり
3. ローマ字国字論とつづり方
3.1 国字論の発生
3.2 ローマ字運動の出発
3.3 ローマ字文の実践
4. 国際交流とつづり方
4.1 昭和初期―臨時ローマ字調査会―
4.2 戦後―国際社会への復帰―
4.3 現在―文献資料の国際規格―
5. 理論的開発
5.1 つづり方
5.2 分かち書き
5.3 語彙、その他
6. 実務のローマ字
6.1 索引検索とローマ字
6.2 テレタイプとタイプライター
7. ローマ字の諸条件
7.1 語を書く
7.2 ローマ字教育
7.3 ローマ字文をめぐる量
7.4 表記の基準

第7章 ローマ字論者の言いぶん
1. アルファベットを知っているか
2. では、「国語」を知っているだろうか
3. 結び

第8章 現代日本語における助詞分類の基準―助詞の相関―
0. まえおき
1. ひとつの形にいくつかの機能
2. 位置関係を示す助詞
3. 「が」「は」「も」
4. 活用体系にならって
5. 解決できること・できないこと
6. むすび

第9章 北をミレ 南だけをミサセルな

第10章 平良市(宮古島)における所の呼びかた
0. まえおき
0.1 報告の目標
0.2 調査体制
1. 概念的空間
1.1 上下
1.2 間取り
1.3 邸内
1.4 方位
1.5 隣り近所
1.6 街区
1.7 村・海・島
1.8 綱引きの組別け
1.9 ツナプク綱引きの表
2. 個別的空間
2.1 町筋の呼び名
2.2 「荷川取」
2.3 「西仲宗根」
2.4 「西里(ニッサトゥ)」
2.5 辻の呼び名(1)
2.6 辻の呼び名(2)
2.7 同所異名
2.8 同名異所
3. まとめ
3.1 固有名詞の相関体系
3.2 固有名詞の分布形態

第11章 空間関係をあらわすことば
0. まえおき
1. 住居の間取り
2. 表・裏
3. 上座・下座
4. 住居の前後
5. 集落内の位置関係
6. むすび

第12章 パラオとヤップの語彙に現われる方位のずれ
  「パラオとヤップの空間―語彙記述的研究―」の第一篇
1. パラオ諸島
2. マルキョクにおける村長の邸
3. 東に帰る
4. ヤップ諸島
5. 水路の両岸
6. 天に帰る道
7. 方位名のずれの傾向

第13章 語彙に構造があるか―相関体系をめぐって―(抄)
1. 相関
2. アガル・ノボル

第14章 沖縄のことば
1. 沖縄の孤絶
2. 琉歌
3. 三母音
4. エーとオー
5. 子音のねじれ
6. 東北なまり
7. 語形の短縮
8. 語頭のツメ音
9. 語頭のハネ音
10. 京風のアクセント
11. 琉球語と呼ぶこと
12. 言語の豊庫
13. 現在唯一の姉妹語
14. 極限の語形
15. 風土化した語彙

第15章 言語と社会環境―歴史的・巨視的見地から―
1. 方言蔑視
2. 文書階級
3. 女・子ども
4. 多産の言語
5. 明治の遺産「国語」
6. 東アジアから西ヨーロッパへ
7. 共通語時代
8. 精神的風土
9. 子どもにとって


業績一覧
日下部文夫 履歴
あとがき
人名索引
事項索引

著者略歴

日下部文夫(くさかべ・ふみお)
1917年2月8日、石川県金沢市生まれ。
新潟県立長岡中学、第八高等学校を経て、1940年東京帝国大学文学部言語学科を卒業。
北京で日本語教育に携わる。
戦後すぐは、日本語辞書の編纂、タイ語研究、ローマ字教科書作成などの仕事をする。
日本大学文理学部言語学担当非常勤講師を経て、岡山大学、南山大学、東京外国語大学、新潟大学で助教授、教授を歴任する。
日本語を対象とする記述言語学者で、ローマ字論者。
独自のローマ字表記案をもつ。
沖縄・奄美・ミクロネシアの方言調査や、音声・音韻論にもとづく、表記の標準化の研究などがある。
日本語教育や文法、語彙体系などについての論考もある。
2014年2月14日、97歳で没。

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